28082010

名古屋の現場の帰りに足を伸ばして鳥羽の「海の博物館」へ










以前、アメリカのスミソニアン博物館を訪れた時に、展示品の中に蛇の骨がありました。それを見たときなぜかとても美しいと思ったのです。目が釘付けになりました。その時は当時関わっていたプロジェクトの構造体に悩んでいた時期でした。日本に帰って構造のエンジニアに「蛇の骨のような考え方の構造体は出来ないか」と提案してみました。建物は単純な構成です。平面は矩形、断面は筒状の大きな空間でした。その構造物の荷重をどのように均等に地面に伝えるか、形状を保持するためにはどのような仕組みがあるか。筒状の自分の体を支えるための蛇の骨は一つの答えなのではないかと考えたのです。
「蛇」は、背骨の部分に応力が集中しています。通常、建物は地面から設計するので、上にいくに従って応力が小さくなり、部材もそれに伴って細くなります。ここではその逆で、蛇の骨のように力を頂部に集める考え方もあるのではないかと考えたのです。実際にこの考え方を採用した建物が海の博物館展示棟(1992)です。応力が頂上の背骨(立体トラス)に集まって、そこから細いリブで力を分散して、地面にランディングするようになっています。集成材を使いましたが、それまでの木造に比べて七割ぐらいの部材量で構成できることが分かりました。







構造デザイン講義

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