先日のイラストはルイスカーンのフィッシャー邸。
改めてプランを眺めてみる。



いくつか興味深いところがある。
先ず、リビングの主窓は北東を向いている。
南側は一部のスリットを除いて殆ど壁で閉ざされている。
計画の先生に見せたら一言言われそうなプラン。
写真を見ると南側は道路で、リビングの北東側に穿かれたの大きな開口の向こうには美しい小川が流れている。
部屋は北側の光によって落ち着いた雰囲気を創っている。
南側のスリットから一筋の光が差し込んでいる。
斎藤裕さんの写真のテクニックもあるが、気持ちよさそうな空間がある。





北庭はお寺や数奇屋でも、しばしば見ることが出来る。
以前紹介したせとうち美術館のカフェも北に面していた。
北側の部屋は非常に落ち着いた雰囲気を創り出す。


ビデオの中でカーン自信が語る言葉。

「鳥は外に、人は物陰に、雨が降るとあなたは家に。
木から落ちる葉、流れる雲、差し込む太陽。これらは皆素晴らしく教訓に富んでいる。
素晴らしいのは窓を通して入ってくる光がその部屋の一部になるということだ。
部屋がつくられるまでは太陽は光がどんなに素晴らしいかわからない。
もし、人間が太陽のひとかけらを求めることが出来ると考えるならば、
部屋を造るという人間の創造は奇跡にほかならない。」

超訳

「窓の位置はセンス!!」




4年の設計期間を費やしてもまだこだわり続けるカーンにフィッシャー氏が言った言葉。
「とにかく建てよう。そうしない限り何も出来ない。」
しばらく、カーンの住宅について考えてみたい。


プラン図とリビングの夕暮れ時の写真はこの本より転載しました。

Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974

Louis I.Kahn Houses―ルイス・カーンの全住宅:1940‐1974