SKETCH すなわち 見取り図
誤解を恐れずに言うならば、建築は物語に似ている。・・・・・

という書き出しから始まるこの本を学生の指導用に使っているが、見るたびに新しい発見がある。


Design Essence from Sketchbook―建築設計のための教科書

Design Essence from Sketchbook―建築設計のための教科書


最近、学生にスケッチを描くことを盛んに勧めている手前、自分でも描くことが多くなった。



差し招くように張り出した薄く暗示的な陸屋根、微妙なずれや重なりを形成しつつ長手方向に平行配列された縞瑪瑙の壁、注視を嫌う平滑極まりないトラヴァーチンの床と水面、眼を断絶的に射るクロムメッキ仕上げの柱列、やや不確かな焦点に据えられたコルベの彫像など、視点の滞留を許さず、常に確かな視線を先送りする巧妙な操作によって独特な距離感が醸し出されている。端正な佇まいにもかかわらず、類稀な空間体験を可能にした傑作である。

他に言い方は無いのだろうか・・・・