木村伊兵衛のパリ

木村伊兵衛のパリ


今日のNHK日曜美術館は「木村伊兵衛 天然色でパリを撮る」

日本写真界の巨人、木村伊兵衛(1901〜1974)。常に愛用のライカを首から下げ、一瞬の表情を逃さず、サッと居合抜きのように撮影してしまう「スナップ写真の達人」だった。
“日本人の日常をリアルに捉えた白黒写真”というイメージが強い木村だが、それとは趣を異にする長く世に出なかった作品群がある。それは木村が、戦後民間人の海外渡航がまだ制限されていた1954年にフランスに渡り、開発間もないカラーフィルムで、パリやイル・ド・フランスの田舎町を撮影して回った実験的スナップ写真。何よりもすばらしいのは、一般的には白黒写真しか存在しなかった1954年に、パリがカラーで撮影されているということだ。我々が知っているようで実際には見たことがない、不思議なパリだ。
初めての海外で、「仕事」や「芸術」から解放され、自由にスナップ写真を撮りまくっている53歳の木村の素顔が、このパリの写真群からは想像できる。微妙な光を細心の注意でコントロールしつつ、絵画的な美しさで街角や人々の表情を捉えている。
バスティーユ/焼きぐり屋台のおばちゃんの怒ったような顔・・・
モンマルトル/楽屋裏の踊り子たちの気取らない笑顔・・・
シャンゼリゼ/渋滞する大通りの運転手たちのイラつく顔・・・
イル・ド・フランス/印象派の絵画のような、川岸を自転車で走る少年のシルエット・・・
木村がフィルム会社から託された試作品のカラーフィルムは、昼光で感度がASA10という驚くべき低感度のものだった。彼がいかに苦労しつつ、自分が美しいと思ったパリをいかなる「色」をとらえようとしたか? 
木村がシャッターを押した状況の技術的な再現も織り交ぜながら、53歳の異邦人がファインダー越しにフランスの何を見、何を感じたのかを解き明かしてゆく。

この写真をパリで撮ったときコーディネートしたのがロベール・ドアノーで、ドアノーを紹介したのがアンリ・カルティエ=ブレッソンとのこと。ドアノーといえばあの「パリ市庁舎前のキス」や「ピカソのパン」を撮った人。

Robert Doisneau

Robert Doisneau

  • 作者: Jean-Claude Gautrand
  • 出版社/メーカー: Taschen America Llc
  • 発売日: 2003/03/15
  • メディア: ペーパーバック
  • 購入: 5人 クリック: 11回
  • この商品を含むブログを見る


A Propos de Paris

A Propos de Paris


ASA10などというものが存在したということを初めて知ったし、それを手持ちで撮ったいうのも信じられない。白黒写真もそうだがカラーもデジタルでは表現できない風合いがあるような気がする。
以前、パリで撮った写真を引っ張り出してみた。

















写真が撮りたくなった。