kei-design2007-11-10


以前同じ職場でご一緒していたYKさんからメールが入った。退職された後、どこかいいところはと探されていたが、この度、超有名家具輸入代理店に就職が決まったとのこと。ビンゴ!YKさんの就職祝いも兼ねて今日は家具の話。
写真は猪熊弦一郎美術館のエントランスホール。前回は自由に写真を撮らしてくれたので、何も考えずに撮ろうとしたら「撮影は2階の常設だけです。」学生には「ちゃんと了解を得てから撮影するように」などと言った手前、かなり恥ずかしい思いをした。又、運悪くそこに学生が居た。今日は前回の写真を使う。ホールにおかれているのはバウハウスのマルセル・ブロイヤーがロシアの画家、ワシリー・カンディンスキー(この人もバウハウスで教えていた。)のために初めて金属パイプを使って作ったワシリーチェア。勿論KNOLL社製。

大阪の枚方でパーキンソンを患われている方の家(プロフィールの写真の家)を設計したことがあるが、設計の打ち合わせのために最初にお宅を訪問したときに置いてあったのがこのワシリーチェアだった。(これも勿論KNOLL社製。)30年ほど経っていたがびくともしていない。
以前設計した住宅を見ての依頼だった。ご主人は、警察学校の副校長先生。「自分が死ぬときはこいつと一緒に死ぬのが夢」などと平気で言う愛妻家。奥様も以前は教職に就かれていたとのことだった。数年前にパーキンソン病を患われた。進行性疾患。難病である。判った時、有料老人ホームにでも入ろうかとずいぶん見て回られたらしいが長年住み慣れた土地を離れがたく、家を建て替えようということになった。「新築でも改装でもどちらでも構いませんよ」とということだったが、出来るだけ住み慣れた環境を残すということで改装という方法を選んだ。勿論、新築のほうが仕事は楽だったが。結局、新築程度に費用はかかってしまった。
ワシリーチェアの似合う家にしようと思った。設計するときはいつも、「10年前からそこにあるような、そしてもう10年たったらもっと味のある家になるよう設計しよう」と考える。(プロジェクトXか!)


少しは出来たかなと思う。(自己満足?)写真は坪庭。既存のけやきを残す形で坪庭を造った。
キッチンも設計して、家具屋さんに造ってもらった。天板はステンレスの無垢板。面材はバーチ合板を使った。洗濯機もアンダーカウンタータイプ(GE社)としてキッチンの中に設けた。結局キッチンの設計だけで3ヶ月ほどかかってしまったが、施主は大満足だった。(自慢?)設計事務所の商売としては大赤字。しかし、廻りの人たちが、「おばちゃん、元気になったね」いう言葉を聴いたときは疲れが吹っ飛んだ。

京都市美術館のノルディック家具展、見に行きたかった!! ところで織田さんて何者?