グラン・プロジェの続き。「フランス大蔵省新庁舎」
設計はポール・シュメトフ(1928年パリ生)とボルハ・ユイドブロ(1936年チリ・センチアゴ生)。

引用。
フランスに限らず、設計競技の発表後は、必ずといっていいほど、新聞や雑誌などに審査方法に対する疑問が取り沙汰される。グラン・プロジェの設計競技もその例外ではなく、この新大蔵省庁舎はその最たるものであった。
このコンペに最終的に残った案は、シュメトフとユイドブロ案と、もう一つよく似た案であった。一方の案は、設計競技要項が示すとおりに、与えられた敷地内にすべてを収めていた。しかし、優秀案は、その規則を無視し、建物を敷地からはみ出させるばかりか、高速道路をまたがり、セーヌ川に足を降ろすという大胆な案だった。
その結果、やはり長い棒状の棟を同じ位置に提案したもう一つの案は、ジュメトフとユイドブロの迫力に負けてしまったのである。もちろん、それは一つの賭けでもあった。設計競技においては、要項に反した賭けをする挑戦者がしばしば見られる。日本でも新都庁の設計競技で、このシュメトフとユイドブロのように、公共の場を少し使うという賭けを試みたチームがいたが、この場合は逆に敗者となってしまったことを記憶している人も多いだろう。


ついでだ。次回もグラン・プロジェ。


磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

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