映画的建築/建築的映画

映画的建築/建築的映画

建築家としての小津安二郎
家族
1998年の春、磯崎新が招集した4人の女性建築家の設計による岐阜県営住宅ハイタウン北方の第1期工事が竣工した。その際、海外から参加したクリスティン・ホーリーは、日本の現代集合住宅の問題点を考えるために、どうしたらよいかを磯崎に質問し、次のような助言を得たという。小津安二郎の「東京物語」(1953)と森田芳光の「家族ゲーム」(1983)を、すなわち「伝統的な日本の住居空間と今日の住まいのパロディ」を一緒に観ればよい、と。そして少なくとも後者の映画をみた彼女は、本当に参考になったと言っている。




2年ほど前、五十嵐氏とある席で話す機会があったが、その際「建築と映画については書かないんですか?」と尋ねたら、「もうすぐでるんです」という返事が返ってきた。「じゃあすぐ読みますよ」と言いながら今まで読んでいなかった。
4部構成からなるこの本は前述の小津から始まり、リドリー・スコット、ローラ・パーマ、ヒッチコックゴダールキューブリック三谷幸喜宮崎駿押井守エヴァンゲリオンクレヨンしんちゃん円谷プロジャック・タチ、フランク・ゲーリールイス・カーン・・・・・と盛りだくさん。映画についての本は色々あるが、どれも所謂クラッシックといわれるものばかり。それに対してこの本はクラッシックから押井守まで幅広い。大好きなプライアン・デ・パルマもしっかり書いてもらっている。
一つだけ不思議だったのはピエール・コーニッグのケーススタディ・ハウス#22が紹介されていなかったこと。#22についてはブログまでブログで紹介されているので参考まで。