20世紀イタリアの構造エンジニアの巨匠、ピエール・ルイジ・ネルヴィは数多くの建物を「PC」でつくりました。オルベッティロの飛行機格納庫(1941)、トリノ博覧会・展示棟(1949)、ガッティ毛織物工場(1951)、ローマ・オリンピック小体育館(1957)、ローマ・オリンピック大体育館(1960)など多数の建物があります。
(中略)
ハーフPCとは「PC」と現場打ちコンクリートが一体となった構造体です。応力分析に沿って梁を入れると、力の流れがそのまま構造体になり、非常にコンクリート量の少ない合理的な床版を作ることができます。
実際には、一点に鉄筋が集中してしまうことや、型枠に非常にお金が掛かるなどの問題点もありますが、ある種理想的な構造体ともいえます。ローマ・オリンピック小体育館もハーフPCで作られています。天井面は向日葵の二重螺旋とほぼ同じ考えで、面を構成するすべてのピースが相似形でできています。

「構造デザイン講義」内藤廣著より引用



parco della Musica Auditoriumのすぐ近くにあるローマ・オリンピック小体育館(スポーツ・パレス)



構造デザイン講義

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