kei-design2007-11-12




丸亀が中途半端だったので、しめくくり。要するに、この美術館は猪熊弦一郎画伯(クリエーター?)のコンセプトを谷口吉生が忠実に表現し丸亀市がそのコンセプトを引き継いだ、の一言に尽きる。この猪熊弦一郎現代美術館は高校生以下は無料である。国立の美術館でさえ、中学生以下無料なのに、なんという太っ腹。子供好きだった猪熊画伯の出来るだけ敷居の低い美術館をという考えが、竣工後10年以上の月日を経た現在もしっかり根付いている。


猪熊画伯の人生を変えた一言。確かマティスの「君は絵がうますぎる」だったと思う。(建売住宅のようなものか。)この一言が無かったら、私の好きな猪熊弦一郎は居なかった。


3階のホールをフィルターとして2階の常設に光を取り込む。

谷口吉生氏が豊田市美術館の竣工後、新建築に次のような文章を寄稿されているので一部を紹介。谷口吉生の設計手法が良く判る文章。引用。
「これまで設計した美術館・博物館の建築は、それぞれに固有の特徴があり、又場所性も異なることから、造形による表現も異なったものとなっている。一方、これらの建築の設計を進めるに当っての考え方については、私なりにいくつかの共通する方針も存在する。まず第一に、内部の設計において、作品が展示された後の空間をイメージし、極力余白のある空間にとどめる方針である。それは、建築は本質的に器であり、内容の存在によって、はじめてその機能も美も発揮されるという設計の基本を、特に美術館や博物館においては強く意識するためである。次に共通する設計方針としては、観客動線を変化する視覚の連鎖としてとらえることである。観客の視線は、移動するにつれてあるときは展示作品に集中し、またあるときは建築や外部の景観などへ移り変わる。それは作品鑑賞に集中する視覚に、変化と休息を与えるためであると同時に、展示と建築、そして周辺を視覚的に結びつけるためでもある。さらに、外部の設計において共通する方針は、敷地の自然や都市や空間と一体となった環境としての建築を意図することである。」(新建築2006.01)
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