1階部分の内側に入ると、ここはサービスと召使のために当てられていて、ひとは斜路か回り階段かどちらかに沿って進むことができる。とくにこの斜路は建物全体を貫通しているもので、回り階段とともに、基本的な形態と「対象物の型」の連続を構成している。
2階は周囲が全部水平連続窓であり、L型に居間などの諸室があり、他は屋外テラスとなっている。光と空気はどこからでも充分に採り入れられる。周囲の眺めは直接にさまざまな開口部から得られ、その眺めは一枚の絵のように枠組みされている。緑はテラスと日光浴室の箱から溢れ出ている。英雄的で健康的なキャンプ生活の感じが避けられないのである。浴室にはタイル貼りの落とし込みの浴槽とタイル貼りの背もたれ付きのソファがあり、古代ローマの体育施設が連想されるほどである。そして、それは「住居の手引」の最初の要求そのものだった。
「太陽のいっぱい入る化粧室。住戸の中で一番広い部屋。たとえば従来の広間を要求すべきである。一壁面はできれば全部窓とし、日光浴のためのテラスにつながること。陶製の洗面器、浴槽、シャワー、運動用具を、」

多分廃番となったSD選書 「ル・コルビュジエ」(C.ジェンクス/著・佐々木宏/訳 鹿島出版)より引用