車でアプローチする人はそのまま建物の下にもぐりこみ、工場的なサッシュ割をもつ1階部分の曲線に従って建物を一周することになる。訪れた人はこの機械時代の儀式にいよおうなしに引き込まれる。
(中略)
運転手付きの車で到着した訪問者は軸線上で車を降り、周囲のピロティによって支持されたポーティコを通り抜け、1階のメインホールへ進むことになる。ガレージと使用人の部屋はここにあり、螺旋階段が上の階で展開される優雅な生活へと導いてくれる。自立する洗面台は産業社会の「レディ・メイド」を気取っており、階段を上がる前に手を清めることを促しているようだ。この聖なる儀式のようなアプローチの経路はランプによって象徴的に表現されており、それが全体の理念のスパインととなっている。ル・コルビュジェはこの「建築的プロムナード」をアラブ的空間と呼んでいたことがある。

ル・コルビュジエ―理念と形態」













次回もサヴォア