独立したての頃、北陸の地方都市でポケットパークの設計をしたことがあった。土木も絡む仕事で、はっきり言って多少不安ではあったが、仕事が無かったこともあり「何でもやります」と引き受けた。日本海の海岸沿いにポケットパークを4ヵ所作るという仕事だった。
役所の担当者が若い方で、各々の公園に小さいモニュメントのようなものを作りたいので何か提案してほしいという話になった。協働していたランドスケープデザイナーがイタリア通の人で、「カラーラ(イタリア)の石で彫刻をつくり、イタリアのモザイク職人にタイルを貼ってもらおう」という話になった。
現地で打ち合わせということで、イタリアへ向かった。デザイナーとはカラーラで落ち合うということになり、ミラノからカラーラへ向かった。その途中に立ち寄ったのがジェノヴァだった。あまり時間がなかったので一通り街を見まわしてカラーラへ向かった。現地でデザイナーと会い、ジェノヴァの話をすると、「レンゾ・ピアノの作品は見てないの?」と開口一番。不覚だった。後で調べると、当時これといった作品は無かったのだが、それ以来、ジェノヴァ出身のレンゾ・ピアノと聞くと一種のトラウマのようなものを感じていた。
3月の旅行ではレンゾ・ピアノの作品を五つ見た。「ポンピドゥー・センター」「IRCAM」「彫刻家ブランクシーの美術館」「parco della Musica Auditorium」そして「関空」。多少トラウマはなくなったような気がする。
どの作品を見ても、巨匠と云われるだけに確かに上手い。しかし、この人にはそれだけでない何かを感じる。ゆっくり調べてみたいと思った。



写真とイラスト(RENZO PIANO BUILDING WORKSHOP)はレンゾ・ピアノ公式HP


Piano: Renzo Piano building Workshop 1966 to Today

Piano: Renzo Piano building Workshop 1966 to Today


より転載。帰りのローマ空港で買ったもの。" ENGLISH"と書いてあったので買ったが英語は表題だけであとはイタリア語だった・・・・



「parco della Musica Auditorium」の写真。